1. 決裁者とキーマンは、同じとは限らない

決裁者とは、提案に対して承認を行う権限を持つ人です。キーマンは、検討や導入を進めるうえで重要な役割を担う人を指します。役員や部長が候補になる場合もありますが、肩書きだけで権限までは分かりません。

大手企業への提案では、予算の承認、業務の検討、導入後の運用が複数の人に分かれる場合があります。最初の接点として誰が適切かは、自社が話したいテーマと、相手に確認したいことから考えます。

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最初に整理したい3つの役割
役割確認したいこと会話のテーマ
予算・方針を承認する人担当領域、投資方針、承認に必要な条件事業への貢献、優先順位、導入判断
検討を進める責任者部門の課題、検討範囲、関係部門実現方法、進め方、必要な体制
利用・運用する担当者現在の業務、困りごと、運用条件使い方、現場負荷、導入時の対応

2. 社長・役員・営業部長の誰に送るかを決める

宛先は、話したいことから決めます。全社的な事業方針に関わる提案なら担当役員、部門の目標や運用に関わる提案なら本部長・部長が候補です。現場の業務を理解する必要があるなら、実務を担う担当者との会話も重要です。

たとえば営業支援の提案でも、新規事業の販路開拓と、既存営業の問い合わせ対応では、関係する部門が異なる可能性があります。「営業の話だから社長」「決裁者だから役員」と決めず、担当する事業・組織まで確認します。

最初に会う人と、最終的に承認する人を分けて整理すると、現場の担当者との商談も、次の検討につながる接点として評価できます。

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提案テーマから宛先を考える例
提案したいテーマ候補となる相手調査で確かめること
既存事業の大手顧客開拓営業部長・営業本部長対象市場、部門の責任範囲
新規事業の販路づくり新規事業責任者・担当役員事業の段階、販売体制、提携方針
問い合わせ対応の整備インサイドセールス責任者・営業企画反響の受付部門、営業との分担
複数拠点での業務標準化運営部門の責任者・管掌役員拠点の管理体制、現場との役割分担

3. キーマンの氏名・役職・担当領域を調べる

企業の公式サイト、役員一覧、組織変更・人事異動のお知らせ、IR、プレスリリースを確認します。部署名や氏名が分かったら、情報の公表日と異動の発効日にも目を通します。古い登壇記事で見つかった肩書きが、現在も同じとは限りません。

氏名が見つからないときは推測で埋めず、担当部署の確認を優先します。公開された窓口に担当領域を問い合わせる方法もあります。送付先も、企業が案内している事業所・部署の所在地を確認します。

才流「CXO向け手紙施策の実践方法」:人物の役職・担当領域と、対象企業の情報を調べてから手紙を設計する考え方を参照。以下はTHRUが提案する記録の形式です。

キーマン調査メモの記入例

対象:A社/営業本部(架空の企業を想定)

候補の役割:新規顧客開拓を管掌する本部長

氏名:未確認。送付前に確認する。

根拠:公式の組織情報や人事発表のURL・公表日・確認日を記録。

確認したいこと:大手顧客の新規開拓が当該部門の担当か。

未確認事項:実際の検討方針、予算、承認者。

氏名や権限を推測で補わず、確認済み情報と未確認事項を分けるための例です。

4. 役職に合わせて「会う理由」をつくる

人を特定したら、その人に何を話すかを考えます。企業の取り組みを並べるだけでは、提案を聞く理由にはなりません。調べた事実と自社の提供価値をつなぎ、「この方の担当領域で、どのように役立つか」を一文にします。

Why youは、その企業・人物に連絡した理由。Why nowは、今そのテーマを話したい理由です。新規事業の開始、出店、人事異動などは接点を考える材料になりますが、それだけで課題や予算があるとは断定できません。

営業部長への提案を想定した、会話のテーマ

確認した事実:A社が新しい法人向けサービスを発表したと仮定。

こちらの仮説:既存の顧客層とは別に、大手企業への接点づくりが必要かもしれない。

会話で共有すること:候補企業の選び方と、会うべき部門へのアプローチ案。

伺いたいこと:今後開拓したい業界と、社内で担える営業範囲。

架空の提案例です。実際の連絡では公開された内容を確認し、仮説であることが伝わる言い方にします。

5. 接点に合わせて、紹介・手紙・電話を組み合わせる

既存のつながりがあれば、まず紹介の可能性を確認します。紹介する側が相手に説明しやすいように、話したいテーマと、その企業に役立つと考えた理由を短くまとめます。

接点がない場合は、企業・人物ごとに文面を設計したレターも選択肢になります。送付後は到着の見込みを確認して電話し、手紙を読んでいなくても用件が分かるように説明します。

メールでの連絡を希望された場合は、希望する情報と送付先を確認します。資料の共有を求められた相手に面談だけを強いるのではなく、関心に合う情報を届けたうえで、次に連絡する時期や方法を相談します。

接点づくりの経路と準備すること
経路準備すること
知人・既存顧客からの紹介紹介をお願いする理由と、相手に伝えられる短い説明
個別のレター宛先の確認、企業を選んだ理由、話したいテーマ
電話担当領域に関わる用件、確認したいこと、連絡履歴
メール相手が希望する情報、提案の要点、次の連絡方法
展示会・イベントの接点その場で交わした会話、合意したフォロー内容

6. 商談では、社内で検討を進めるための条件を確認する

役員や部長との面談が決まっても、それだけで受注が決まるわけではありません。会話の中で、どの部門が検討に関わるか、どんな条件がそろえば次へ進めるかを確認します。

「決裁権はありますか」と役職だけを確かめるよりも、「このテーマを検討される場合、ほかにご一緒した方がよい部門はありますか」「社内で判断される際、どのような情報が必要でしょうか」と聞くと、次に準備する仕事が明確になります。

担当者との会話を飛ばして上位者へ連絡し続けると、関係を損なうことがあります。社内での共有方法や次の参加者を相手と相談し、企業単位で履歴を管理します。連絡を希望しない意向も、担当者間で共有します。

  • 今回の提案に関わる部署と、それぞれの役割。
  • 現在の方針と、優先して解決したいテーマ。
  • 導入を検討するために必要な資料や確認事項。
  • 次の打ち合わせの目的・参加者・時期。

7. 決裁者アプローチについてよくある質問

手紙は代表者宛てに送るべきですか?

提案のテーマによって変わります。部門の営業課題であれば営業部長、事業の方針に関わる内容であれば担当役員など、実際の担当領域から選びます。代表者名が分かるという理由だけで宛先を決めないようにします。

部長の氏名が見つからない場合はどうしますか?

公式の組織・人事情報を確認し、分からなければ担当部署の特定を優先します。役割や送付先を確認してから連絡し、確認できない氏名や肩書きを推測で書くことは避けます。

役員アポと担当者アポは、どちらを優先すべきですか?

商談で何を進めたいかによります。方針の確認、部門の検討、現場の理解では必要な相手が異なります。THRUでは商材と受注条件から、役員・部長・担当者のどの役割と会うべきかを整理します。

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